日々の暮らし⭐︎

感じたことをそのまま文字に綴っています。丁寧な暮らしをすることで、何気ない日常にはたくさんの優しさや感謝や愛で溢れていることに気づきます。皆様の今日という日が優しさで溢れる一日となりますように…⭐︎

優しさで満ち溢れたお話⭐︎

今朝読んだ本に

わたしの心を優しさで満ち溢れさせてくれた

ストーリーがあったので

皆様にもシェアさせてください⭐︎

 

 

 

「ニューヨークのブルックリンには、チュッシュという体が不自由な子供たちの学校があります。

この学校にずっと通う子もいますし、いわゆる一般校に移っていく子もいます。

この学校のチャリティー・ディナーで、ある生徒の父親がスピーチをしました。

その話は、そこにいた全員の心に忘れられないものとして、ずっと残りました。

この父親は献身的に働く学校スタッフをほめたたえてから、大きな声でこう言いました。

「うちの息子シャヤの内にあるはずの健やかさは、一体どこにいったのでしょうか。

神はすべてを完璧になされますが、うちの子には他の子のように、理解する能力がありません。

他の子のように覚えることもできません。神のなさる完全は一体どこにあるのでしょうか」

聴衆は、この父親の苦しみに満ちた声に衝撃を受け、心刺されるような問いかけに静まりかえりました。

父親は続けました。

「私は信じています。神がこの子のような存在を創られたのは、この子に人々が反応する、

そのことに完全を探しておられるのだ、と思うのです」

そしてシャヤの身に起こった次のような出来事を語り出しました。

ある日の午後、シャヤと私が公園を通りかかると、

そこではシャヤも知っている少年たちが野球をしていました。

シャヤは『ぼくも仲間に入れてもらえるかな?』と言いましたが、

息子は運動がまったくできませんでしたから、

きっと誰もチームには入れてくれないだろうと思いました。

でも、ふと思ったのです。

もし息子が仲間に入れてもらえたら、この少年たちとの間につながりを感じてくれるだろう、と。

そこで私は、そこにいた少年の一人に、シャヤも仲間に入れてもらえないか、と聞いてみました。

その子は仲間に聞こうとあたりを見まわしましたが、

他の仲間が特に反応しなかったので、その子は自分で決めることにして言いました。

『今八回まできていて、ぼくらのチームが六点差で負けているんです。

ぼくらのチームに入ってもらって、九回に打席に入ってもらうといいと思いますよ』

そう聞いて、私はとてもうれしかったのです。

シャヤがとても楽しそうに微笑んだからです。

少年たちはシャヤにグローブを渡してくれて、センターの守備につくように言ってくれました。

八回裏になってシャヤのチームが攻撃にまわり、

何本かのヒットで追い上げましたがまだ三点差で負けていました。

九回裏でまた得点し、二死満塁、ひょっとしたら逆転できるかもしれないという時に

打順がシャヤにまわってきたのです。

こんな場面でシャヤを打席に立たせてくれるのだろうか、

せっかくの逆転のチャンスを無にしてもいいと思ってくれるだろうか、と思いましたが、

バットがシャヤに渡されたのです。

誰もがシャヤにヒットが打てるはずない、もう勝てない、とわかっていました。

シャヤはヒットどころか、バットを正しく持てさえしなかったのです。

シャヤが打席に入ると、

ピッチャーは何歩か前に出て、ボールをとてもゆっくりと投げてくれました。

シャヤがバットにボールを当てられるように気遣ってくれたのです。

シャヤは大きく空振りしました。

シャヤのチームメイトが打席に集まり、シャヤのバットを一緒にもってくれました。

ピッチャーはもう何歩か前に出て、ボールをトスしました。

シャヤと仲間たちはバットをボールに当て、ボールはピッチャー前に転がりました。

ピッチャーがそれを捕って一塁に送ればゲームセットとなるはずでした。

ところがピッチャーは、捕ったボールを一塁手の頭上はるか高くに投げてしまい、

ボールはライトを転がっていってしまったのです。みなが叫び始めました。

『シャヤ、一塁に走れ!  一塁に走れ!』と。

シャヤは一塁に走ったことなんて一度もなかったのです。

シャヤは大きな眼を開けて、驚いてじっと見つめていましたが、やがて一塁へとドシドシ進み始めたのです。

シャヤが一塁に着く頃にはライトの野手がボールを捕りましたが、

その野手は、ピッチャーの望むところがわかったので、

走るシャヤにタッチしてアウトにする替わりに、三塁手の頭上高くにボールを投げてしまいました。

誰もが叫びだしました。『二塁へ走れ、二塁へ走れ!』

シャヤは塁を埋めていた走者たちがホームへ駆け込んでいく間、

二塁に向かって必死に走っていました。

シャヤが二塁に着くと、ショートを守っていた少年がシャヤのところにきて、

シャヤを三塁のほうへ向け、『三塁へ走れ!』と言いました。

シャヤが三塁に向かうと両チームの少年たちがシャヤの後ろを走り出してこう言いました。

『シャヤ!  ホームへ走るんだ!』

シャヤがホームへ生還すると、両チームの少年たちがシャヤを肩の上に乗せて、

シャヤをヒーローとしてたたえてくれました。

シャヤは満塁ホームランを打って、チームを勝利へ導いたのです」